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2013開幕直前インタビュー

DEERSの主将として3年目のシーズンを迎える丸田泰裕選手。昨年は3年ぶりの王者奪還を目前にまたもオービックに阻まれ準優勝となった。丸田主将率いるDEERSが、昨年の悔しさを覚悟の強さに変え日本一に返り咲くことが出来るのか。丸田主将が今の想いを語る。


―昨年は、3年ぶりの社会人決勝戦出場、主将としては初のJAPAN X BOWL(以下、JXB)となりました。

 3年ぶりにJXBに出場したというよりも、ずっと負けていたオービックシーガルズ(以下、シーガルズ)と決勝の舞台で戦えるという意味の方が大きかったです。自分のフットボール人生で、同じ相手に3連続で負けたこともなかったですし、シーガルズというチームに対して絶対に負けたくないという強い気持ちがありました。
チームの仕上がりは良い状態でしたが、自分たちの力を100%出さないと勝てないギリギリの状況でした。結果、3点という僅差で負けたわけですが、点差以上の力の差を痛感し、悔しさと同時にDEERSの選手一人ひとりが、より強い覚悟を持ってフットボールに取り組まなければ、今後もシーガルズには勝つことは出来ないなという思いが残った試合になりました。


―主将としては3シーズン目となりますね。

RB#29丸田  はい。主将に就いた当初から、個人がチームに寄り掛かり、埋もれてしまっては強いチームは作れないな、という思いがありました。以来、選手の個々の取り組みに注目し一人ひとりがDEERSの勝利に貢献出来るようなチーム作りを意識して行っています。
1年目は、RBという常にストレートに数字やパフォーマンの結果が出てくるポジションと、初めて担ったキャプテンというポジションのバランスを取ることが非常に難しく、プレーに集中出来ないことが多かったのですが、徐々にその切り替え方が分かってきて、3年目の今年はよりみんなに目を配れるようになってきました。
また、副将のDL#90鈴木とオフェンスリーダーのQB#10山城がそれぞれディフェンスとオフェンスを牽引してくれることによって、キャプテンとしての視点で物をみることに重きを置くことができていますのでとても大きな存在です。


―幹部は丸田主将も含め二人と、最近のDEERSにはなかった体制ですね。

 そうですね。幹部のメンバーがオフェンスやディフェンスと、違うポジションで構成されていると、ミーティングをするのにも調整が必要で、タイムリーにチームについて考えられていなかったという昨年一昨年の反省がありました。昨シーズン終了後、歴代主将の植村さん(2012年引退)、DB#23栄さん、LB#42牧内さんとも相談して、鈴木との二人体制でいくことを決めました。
先ほどお話しした通り、山城がオフェンスを引っ張って行ってくれているので、敢えて幹部にオフェンスメンバーを入れる必要もないと思いました。


―実際にやってみてどうですか?うまく機能しているのでしょうか?

 そうですね、機能というかよくやってくれていますので助かっています。また、鈴木ともすぐに話すことも出来ていますしコミュニケーションもよく取れています。

―今春行われた東日本王者を決めるパールボウルでは4年ぶりの優勝となりました。

 春の集大成であるパールボウルに勝てたのは良かったし、ディフェンスで我慢して追い上げる、DEERSらしいフットボールが出来たと思います。オフェンス・ディフェンス共にコーディネーターが新しくなりましたが、有澤コーチは選手をよく見てくれていて的確なアドバイスやオフェンスの士気を高める言葉を常にかけてくれていますし、伊藤コーチも相手チームを詳細に分析し綿密なディフェンスを作り上げてくれいますので、チーム全体の雰囲気も含め、感触としてはいいと思います。

―パールボウル以降、全体練習の際は、一層チームメイトに戒めるような言葉をかけることが多くなった気がします。

RB#29丸田  そうですね、シーガルズをはじめ強豪チームに勝つには、日々の生活の中でいかに覚悟を決めてフットボールに取り組めるが重要だと考えています。
チームは良くなってきていても、個人レベルを見れば、しんどいときに途中でやめてしまったり、やらなかったり。それは休日の全体練習のときだけでなく、平日練習の参加や自主練習の取り組みを含めてです。そこがシーガルズとの差なのだと思います。しかし、これについては、私がずっと横について皆にやってくれと言えるわけではないので、スローガンを"覚悟"とし、ハドルではずっとしつこく言い方をかえて同じような事を言っています。
どれだけ感じて、どれだけ多くの選手が取り組めるかが、力が拮抗している相手との試合で勝敗を分けるポイントだと思っていますので、現状に満足せずにある種の危機感を持ち続けて取り組んでいくことが絶対に必要です。


―個人にフォーカスを当てればまだまだのメンバーもいるということでしょうか?

 私もそうですが、練習中走れていないときや必要なもう一歩が出ていないことも無意識であるでしょうし、エースのWR#11前田も苦しいときに走れていないときもあります。簡単に言えば苦しい時に、お互い気づきあって、引っ張り合って、頑張っていきたいということです。やってないわけではないですが、シーガルズに元々全体では負けているわけですから、現況のままだと厳しいということです。自分が完璧に出来ているとは言わないですが、もっとできる選手や若くて経験の足りない選手も一緒に引っ張っていくことが自分の役目だとも考えています。

―目指すべき場所に、皆同じ方向を向いて取り組めている実感のようなものは?

 徐々にはあります。繰り返しになりますが、どうしていこうという話はしつこく話しています。森HCが就任以来、今もずっと言い続けていることがあるのと同じように、考えや物事をチームに定着させることは中々難しいですし、一回言っただけでは絶対に浸透しません。この1年という短い期間では、やっと何人かが感じ取ってくれるだけかもしれません。それでも少しでもその人数を増やし、チームの皆が同じ方向を向いて進んでいく為には毎回同じ事を言っていかないとと思ってやっています。

―今年も8月に合宿が行われました。

 はい、例年と変わらない申し分のない環境に加えて、今年は気候も涼しく、とても過ごしやすかったです。お陰でミーティングもフィールドでの練習も満足に行え、フットボールのことだけに集中することができました。ポジションごとに決めた合宿での目標を通じて、一つステップアップできたと思います。

―いよいよシーズンが開幕します。

 鹿島DEERSとしてのラストシーズンではありますが、日本一を目指すことに変わりはありませんので特に何も意識はしていません。
でもそれは危機感が足りないだけかもしれないという思いもあります。例年と同じような環境でフットボールが出来ている分、来年も鹿島DEERSが存在するかのような感覚で毎日を過ごしてしまっているように感じている部分もあります。この試合で負けたら終わりだという時に萎縮する選手が出てくるかもしれません。日本一を目指すことは変わらない目標ですが、特別な意味があるシーズンであることは忘れてはいけないとも感じています。


―ファンの皆さんへメッセージをお願いします。

 いつも熱い応援をありがとうございます。観に来てくださった方々や日頃から応援してくださる方々に、試合のフィールド上でいいプレーをし、いい試合をする、そして勝つ、ということが私達の出来る最大の恩返しだと思っています。24年間の皆様への感謝とDEERSプライドを胸に日本一になる瞬間まで成長し続け、皆様と一緒に喜びを分かち合えるよう日々取り組んでいきます。今年もよろしくお願い致します。



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