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2002年5月30日(木) パールボウル決勝
DEERS VSリクルートクラブシーガルズ 会場:東京ドーム
試合開始時刻:19:00
試合終了時刻:21:45
観 衆:14,800人
チーム名 1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
鹿島ディアーズ 7 0 0 6 13
リクルートクラブシーガルズ 7 3 0 3 13

チーム名 TB1 TOTAL
鹿島ディアーズ 7 7
リクルートクラブシーガルズ 6 6

得点経過
    
チーム名 Q 時間 Play Player(S) Yard TFP Playrer(S) G/NG
鹿島 1 9:42 Pass #8鈴木→#87板井 1 K #9田中 G
リクルート 1 14:45 Rush #31白木 1 K #1大久保 G
リクルート 2 14:02 FG #1大久保 19      
リクルート 4 2:19 FG #1大久保 34      
鹿島 4 14:57 Pass #8鈴木→#1笹野 7 K #9田中 NG

タイブレイク
    
チーム名 Q 時間 Play Player(S) Yard TFP Playrer(S) G/NG
リクルート TB1   Pass #8高橋→#87脇田 12 K #1大久保 NG
鹿島 TB1   Pass #8鈴木→#81志田 9 K #9田中 G

内容 鹿島 リクルート
1.ファーストダウン
回数
19 19
2.攻 撃
回数-獲得ヤード
71-313 Yds 73-339 Yds
 (パ ス)
試投-成功-インターセプト-獲得ヤード
39-21-2-239Yds 24-12-1-111Yds
 (ラ ン)
回数-獲得ヤード
32-74 Yds 49-228 Yds
3.反 則
回数-損失ヤード
4-20 Yds 4-11Yds
4.ファンブル
回数-喪失
1-1 4-3
5.フィールドゴール
回数-成功
0-0 3-2

解説

コイントスに勝ったDEERSは後半の選択権をチョイスし、リクルートのレシーブから試合開始。お互いにパントを一度ずつ蹴った後、DEERS2回目の攻撃は自陣10ヤード地点から。サードダウンでQB#8鈴木からWR#81志田へのパスが通りこの試合初めてのダウン更新。その後TB#29池場のラン、WR#7植村へのパスなどでファーストダウンを重ね敵陣へ。更にWR#87板井へのパスが成功してゴール前3ヤードまで迫ると、最後は同じく板井へのタッチダウンパスで90ヤードのドライブを完結させてDEERSが先制する。(7-0)
しかし、リクルートはすぐさま次の攻撃でランプレーを中心に次々にダウンを更新しDEERS陣へ。4thダウンギャンブルも成功させてゴール前に迫ると最後はやはりランプレーでタッチダウン。7-7と同点となる。
2Qに入り、両チームともオフェンスが決め手を欠いて、こう着状態となる。DEERSはQB鈴木がリクルートフロント陣のプレッシャーを受け思うようにパスが投げられない。一方リクルートはランプレーを軸にリズムを掴み始め、リクルートへ徐々に流れは傾きはじめる。前半終了間際、ゴール前3ヤードまで攻め込まれ、大きなピンチとなるが、3rdダウンで残り1ヤードという状況をかろうじで止めてゴール前2ヤード地点で4thダウンインチという状況。ギャンブルをするのか確実に3点を取りリードして前半を終わるのか難しい選択であったが、残り時間が1分を切っていることもありリクルートベンチはフィールドゴールを選択。リクルートはこのフィールドゴールを難なく成功させ7-10で前半終了。

後半に入り、DEERSはリクルートのスペシャルプレーのミスに乗じてチャンスを掴む。ハーフライン付近で攻撃権を得るとQB鈴木がTE#82八百板、#7植村、TB#35平手、#87板井へ連続してパスを成功させてゴール前に迫る。リクルートの反則もありゴール前2ヤードでファーストダウン。絶好の逆転チャンスを迎えるが、ここで4回のランプレーをことごとく阻まれ得点には至らない。更に次のシリーズも、ゴール前25ヤードから攻撃開始とチャンスが続くがこれもインターセプトを喫し、またしても得点できず。7-10のまま4Qへ。
サイドが変わって早々DEERSに大きなミスがでる。リクルートオフェンスをパントに追い込んだものの、そのパントをキャッチミスしてゴール前16ヤード地点でリクルートの攻撃となる。しかし、ここはLB#90大島の好プレーなどで何とか粘り、フィールドゴールの3点だけに留める。(7-13)
リクルートディフェンスフロント陣のQBへのプレッシャーが強くDEERSオフェンスはなかなか糸口が見出せない。逆にリクルートオフェンスの猛攻は止まらない。続くシリーズもリクルートはこの日1人で147ヤードを走ったRB#20古谷のランでDEERS陣に攻め込む。しかし、リクルートのミスにも助けられ辛くもこれを凌ぎスコアは7-13のまま。
残り時間は7分を切りDEERSの攻撃が始まる。QB鈴木から#87板井、#29池場へのパス、そして鈴木自らのランでリクルート陣26ヤードへ。しかし、ここからが攻めきれずギャンブルも失敗。2分34秒を残して攻撃権はリクルート。DEERSのタイムアウトは残り2回。リクルートの攻撃を3回で止めることができれば、まだ充分にチャンスがある。
しかし、リクルートはエースRB古谷のランで2度ダウンを更新。残り時間は49秒と万事休すかと思われたが、LB#43岡橋がまさに起死回生の強烈なタックルでファンブルを誘いDL#73佐々木がこれをリカバー。リクルート陣46ヤードでDEERSの攻撃となる。
残り時間は40秒、タイムアウトは1回。勝つためにはタッチダウンを奪うしかない。QB鈴木が落ち着いてWR#81志田、TE八百板へ連続してパスをヒットさせる。相手の反則もありゴール前19ヤードへ。3rdダウン残り10ヤードという状況でTB平手がドロープレー(パスと見せかけたランプレー)で中央を抜け、ゴール前8ヤードで1stダウン。残り時間は13秒。1stダウンで板井へのパスは失敗するも、2ndダウンでWR#1笹野へのパスが成功し、残り3秒でついに13-13の同点に追いつく。
トライフォーポイントのキックを決めればそれが決勝点となるはずであったが、リクルートも執念を見せこれをブロック。同点のまま4Qを終了し優勝の行方はタイブレイクの勝負に持ち込まれる。

コイントスに勝ったDEERSは定石通り後攻を選択。リクルートが先に攻撃することになる。2本のパスであっさりとタッチダウンを奪うが、その後のキックを失敗。リクルート最初の攻撃は6点に終わる。
後攻めのDEERS、最初のパスでリクルートにインターフェアの反則がありゴール前12ヤードで1stダウン。しかし2本のパスと1回のランはリクルートの好守に阻まれ、あっという間に4thダウン。次のプレーで失敗すれば負けという絶体絶命のピンチに追い込まれるが、QB鈴木がエンドゾーンに投げたパスをWR#81志田が見事なキャッチ。再び同点に追いつく。プレッシャーのかかる中、K#9田中が決勝のトライフォーポイントのキックを今度はきっちりと決めて試合終了。内容的には押しまくられていたものの、土壇場での逆転でDEERSは3年ぶりのパールボウル優勝を勝ち取った。
なお、MVPには決勝のタッチダウンパスをキャッチしたWR#81志田が選ばれた。

●タイブレイクシステム
4Qが終了した時点で同点の場合、ゴール前25ヤードからお互いに攻撃をして、「表」「裏」の攻撃が終了した時点で、得点が多いチームが勝利するシステムです。「表」「裏」の攻撃が終わって得点差が無い場合は、得点差がつくまで「表」「裏」の攻撃を行います。野球の延長戦をイメージしていただくと良いと思います。先攻/後攻は改めてコイントスを行って決めます。先攻のチームが「表」の攻撃を無得点で終えた場合、後攻のチームは無理をしてタッチダウンを狙う必要はありません。フィールドゴールの3点を取れば勝つことができます。このように、先攻のチームの得点を見て攻撃の方針を決められる後攻が有利なことは、まさに野球と同じです。コイントスに勝ったDEERSは、当然後攻をチョイスしました。
Xリーグのリーグ戦ではタイブレイクは行われません。4Qを終了して同点の場合は引き分けとなります。したがって、タイブレイクが行なわれることは極めて異例です。DEERSにとっては、1997年のファイナル準決勝でオンワード(当時)との試合以来です。ちなみにパールボウルに於いては27回の歴史の中で初めてのことでした。

●時間との戦い
アメフトの試合では、相手との戦いに加えてもうひとつの戦い、即ち「時間との戦い」があります。前半終了間際や試合終了間際に残り時間を計算しながら得点を狙いに行く攻撃のことを「ツーミニッツ(2 minutes)オフェンス」と言います。これは、残り時間が2分を切るくらいになると、時間の使い方に気を配りながら攻撃するために、プレーの選択や攻撃のテンポが通常の攻撃とは違うスタイルになることからこのように呼ばれます。
アメフトの場合、「プレーが終わっても時間が流れ続けるケース」と「時間が止まるケース」があります。時間が止まるケースというのは、(1)サイドラインの外に出た場合、(2)パスが失敗に終わった場合、(3)タイムアウトを取った場合、(4)ファーストダウンを取った場合などがあります。ただし、ファーストダウンを取った場合でも、フィールドの中でボールデッドになった場合、一旦は時計が止まりますが、審判の笛で再び時計は動き出します。したがって、できるだけ時間を節約するためには、サイドラインの外に出やすいプレーやパスを選択することが多くなります。また時間を止める為に、QBがスナップを受け取ると同時にボールを地面に叩きつけてわざとパス失敗にしたり(スパイク)、タイムアウトを有効に使ったりすることも非常に重要です。

この試合で4Q終了直前に同点に追いついたシリーズでこんな場面がありました。ゴール前19ヤード地点、3rdダウン10ヤード。残り時間は20秒、タイムアウトは残すところあと1回。ここでDEERSが選択したプレーは、TB#35平手のドロープレー。ドロープレーというのはパスと見せかけたランプレーです。中央のランプレーということで、10ヤード以上ゲインしてファーストダウンを取ることができなければ時間は流れ続けます。そういう意味で非常にリスクが高いプレーの選択です。オフェンスにとってリスクが高いプレーの選択ということは、裏を返せばディフェンスにとって予想しづらいプレーということになります。結果的にはTB平手の好走もあって見事にダウンを更新。これが2プレー後のWR笹野へのタッチダウンパスに繋がりました。LB岡橋のファンブルを誘ったハードタックルと、このドロープレーが試合のキープレーだったと思います。「ツーミニッツオフェンス」になった時、コーチになったつもりでプレーを予想しながら観戦するのも面白いと思います。



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